セックスしたことないのにクリスマスに性病になったことが明らかになった哀れな女の話
セックスとか性病に罹ったとかいう話はおおっぴらにすることではない、という主張はわかります。
私もそう思っていたのでそういう話は今まであまりしてきませんでした(ただし架空の成人男性同士の性交渉を除く)。
しかし性や身体に関することは誰でも向き合うことであるのに、なぜことさらに秘匿しなければならないのかという疑問があります 。
人は隠れてセックスをする生き物だとはいいますが、 この性に開放的になりつつあるご時世、 よりフリーな情報開示をしたっていいんじゃないか。
「 セックスしたことないのに性病にかかった」という、 あんまりにもあんまりな情報は特に。
多くの人は話したがらんだろ。人に直接聞くに聞けず、 困惑する女性たちがこの記事に辿り着いてくれれば嬉しいです。
それに私はもう多感な思春期の少女ではありません。 恥じらいももうないです。 恥ばかりの人生なので今更どうでもいいんです。
全てのことはホント些事。
そういうわけで、 この記事を書いています。 あと正味な話多くの人に同情されたいという気持ちもあります。
さてここからが本題なのですが、 私が罹ったのは性器ヘルペスです。 その名の通り性器にヘルペスができる、痛くてしんどい病気です。唇のヘルペスの生殖器版です。もちろん男性も罹ります。
セックスしたことないのにどうして私がこの病気に罹ったのか、 まずは時系列を追っていきたいと思います。
20日(金)
夕方から発熱。異常な寒気がすると思ったら39℃の熱。
21日(土)
なんと早朝に平熱に戻る。パワープレイにも程がある。 比較的元気になりましたが、 この時点で既に陰部に痛みに近い痒みがありました。 前日発熱で風呂に入れなかったせいかと思い、 入浴してよく洗っただけで放置。
22日(日)
出勤したら人員が足りていたので勤務時間40分で退勤させてもら いました。ホワイト〜! しかし職場がホワイトであろうと陰部の違和感は消えない。
23日(月)
上司が神なので年休を取らされました。上司愛してるよ( kiss)
陰部の違和感がますます強くなり、歩くと痛むようになりました。 鏡で確認したところヘルペスらしきツブツブがあった。「 セックスしたことないのに性器ヘルペスに罹った」ことを確信し、 その直後からTwitterで暴れます。 情けないほど平常心を失っていました。お恥ずかしい。
24日(火)
朝のトイレで痛すぎて泣きました。思わず「殺してくれ」 って言っちゃったよ。女騎士か?
仕事を早退して産婦人科へ。恥辱の台とも呼ばれる、 下半身すっぽんぽんで股をぱかーんと開かされる台に乗せられ、 5秒で「あ〜ヘルペスですね〜」と診断されました。診断早いな! 女医さんだったのがせめてもの救いでした。
以上です。
ここで解説を加えると、 23日にすぐに鏡を見て性器ヘルペスだと気付いたのには理由があります。過去にも罹ったことがあったからです。
セックスしたことないのに。
そう、セックスしたこともないのに、再発!!
初めて罹ったのは中学三年生の時、 滋賀県に旅行に行って生まれて初めて琵琶湖を見た時でした。
その頃から既に琵琶湖大好きマンだったわけですが、 それは本筋と全く関係ないので置いておきます。
無論中学生の頃もセックスなどしたことなどなく、 純朴な中学生生活を満喫し、 野山に混じりて竹を取ったりキノコを取ったりしていました。 超山奥育ちだったので……
旅行中体調を崩した私は、 違和感を覚えながらも旅館の共同浴場を利用しました。 旅行の醍醐味は温泉ですから……
後々わかったのですがその時既にインフルエンザに罹っていました。 琵琶湖のほとりで痰と鼻水が詰まって呼吸困難で死にかけたりしたんだから気付いて欲しかったですが、中学生の頃の私は今と変わらず馬鹿だったので仕方ありません。 馬鹿が風邪を引かないのは風邪という概念を知らないからなのです 。
帰宅後、受診した産婦人科で「 おそらく抵抗力の低い状態で入浴したせいでヘルペスウイルスがうつったんでしょう」と言われたのですが、 思春期の繊細なハートはズタズタでした。
セックスしたことないのに性病になるなんて! 歩けないほど痛く、そして屈辱的で、 しくしくと泣いた覚えがあります。
医者に「抵抗力が弱まった時に再発するかもしれないから気をつけてね」 とも言われたのが尚更辛かったのです。
気をつけてねって何をどう気をつけろっちゅーんや! アホか! 今、当時のことを思い出しながらこの文を書いているのですが、 中学生の頃の私への同情を禁じ得ません。なんてかわいそうな私。
そういうこともあり、 鏡を見てすぐにヘルペスだと分かったのです。症状が( 中学生の頃ほどひどくはないけれども)ほぼ同じでした。
しかし時期が時期なのです。
よく思い出してください。私は24日に受診しています。 12月24日、クリスマスイブ。 アベック蔓延る街を早足で産婦人科へ向かう私の気持ちを想像してみてください。
思春期の頃ほど繊細な人間ではなくなって久しいですが、 それにしてもあんまりです。あんまりだよ! 酷いわ!
この歳になったんだからそりゃセックスして性病に罹ったなら納得できるよ。勉強代だねって言って素直に治療費も払えたし、 自業自得だよな〜とも笑えた。パートナーと「すまんわ〜 ヘルペスなったわ〜、お前が犯人か!」と喧嘩することもできた。
でも私、セックスしたことないんですよ!!
なのにこのざまですよ?!?!
解せねえよな〜〜、本当に解せねえ。納得いかんな〜〜。
「ばっちい手で触ったんじゃないの?」 と賢姉賢妹はお思いかもしれませんが、触ってません。
中高生の頃性教育の授業のたびに己の胎の中に生殖器が詰まっていることが地雷すぎて泣きながらトイレで吐いていた人間が、
未だに己の生殖機能を全否定したくてたまらない人間が、
産婦人科で「子宮って特に理由なく取ったりできないんですか?」 と訊いた人間が、
そうそう己の性欲と正直に向き合えるわけがないのだ!( いつもボーイズラブ小説を読んだり小川のせせらぎ音を聞いたりして発散させています。)
なお私の性自認は女性ですし、身体も女性です。 女性であることが嫌ではありませんが、ただ一つ、 胎に詰まった生殖器とそれに付随する生殖機能が嫌なのです。
理由はわかりません。 性に厳格に育てられたわけでもなく、 性的暴力や性的虐待を受けたわけでもない。本当に謎です。
この多様性の時代の中、私のような人にもいずれ名称が生まれる気がします。 もしかしたら私が知らないだけで既にあるのかもしれません。
ヘルペスについては薬を処方されたので、 ちゃんと飲んでしっかり治していこうと思います。
皆さんも女性特有の器官や機能に違和感やトラブルがあったら、 恥ずかしがらず産婦人科に行きましょう。恥ずかしいことではないし、放置していると苦しいですから。
それではみなさん、メリークリスマス! 避妊と性病予防にお気をつけくださいね。
12月28日追記
ヘルペスは治りましたが今は切れ痔で呻いております。続く下半身トラブル、迫る年末!
しかし私にとって切れ痔は恒常イベントみたいなものなので大したことはないです。
皆様良いお年を。
アドベント 同性間高密度感情小説 カレンダー
さて、予告では「公開しても差し支えない都道府県立図書館事情か図書館でも借りられる同性間高密度感情小説」と書きましたが、前者は私が楽しくないのでやめました。
さて、ここでいう「同性間高密度感情小説」というのは、
「恋愛または性的な意味の有無を問わず、男と男の結びつきや関係性の描写があり、読み手である腐女子(つまり私)の琴線に触れた小説」
という意味です。
この記事では「女と女」の関係性について描かれた小説は紹介していません(紹介する本の中にはそうした要素を含むものもあります)。
理由は私がその領域に関しては素人甚だしいからです。女女感情に関してはその道のプロに聞いてみてください。
「図書館で借りられる」と銘打っているので、BLレーベルは除外していますが、これから紹介するものの中にはBLレーベルで活躍している作家のものも含みます。
そういう趣旨の記事なのでボーイズラブは得手不得手で言うと後者! なんて人は読まない方が賢明です。きみは賢いからどう振る舞うべきかわかるね。
それではどうぞ。
1.青空の卵(ひきこもり探偵シリーズ)(坂木司)
別名「共依存ズブズブシリーズ」(そんな別名はない)。
探偵役の引きこもり男と助手役の保険営業マンの共依存が読んでいて若干引くレベル。本当共依存はお互いのためになりませんよ! 読んでる私は嬉しいけど!
ジャンルとしては日常ミステリです。ドラマ化もしたしBL漫画家の手で漫画化もされた。なおドラマは引きこもり男の演技が大根すぎて感激できます。
2.仔羊の巣(ひきこもり探偵シリーズ)(坂木司)
このシリーズは順番に読んだ方が男と男の関係性の深化と変化を味わえます。
3.動物園の鳥(ひきこもり探偵シリーズ)(坂木司)
同上。
4.メルカトルと美袋のための殺人(メルカトル鮎シリーズ 短編)(麻耶雄嵩)
メルカトルシリーズはミステリ小説界隈の腐女子に不動の人気がある(ような気がする)。
傍若無人で性格が劣悪な探偵に対して助手役はひたすら殺意と敵意をみなぎらせているのですが、なんやかんやいって仲良しです。
嫌よ嫌よも好きのうちって言いますしね。
5.メルカトルかく語りき(メルカトル鮎シリーズ 短編)(麻耶雄嵩)
4番目と同様、メルカトルシリーズ短編集です。一応長編もあるのですが、長編には美袋くん(助手役)が出てこないので短編をおすすめします。
6.家守綺譚(梨木香歩)
なんでもいいからこれを読んで!!!! 私を琵琶湖面にひきずり込んだ小説です。
この小説の主人公とその友人のそこはかとない関係性に入れ込みすぎて私は10年近く人生を盛大に棒に振っています。
主人公は売れない物書き、ある日主人公の学生時代の友人の実家の守りになってくれないかと打診されます。しかしその友人は何年も前に不幸にも湖でボートを漕いでいる際に事故で亡くなっています。先立つものがない暮らしはつらい! そういうことで家守になった主人公ですが、彼の前にある日死んだはずの友人が……
主人公の前に幾度となく友人が現れるのですが、いちいち「匂わせ」てくるので腐女子はもうなすすべもない。友情万歳!
ここまで書くと完全にホラー小説ですが、語り口が全く異なります。穏やかでやさしい、幻想的でいて現実的な世界観が広がります。我々の中に「日本の原風景」という情景があるとしたら、それを見事な筆力で表現しているのがこの小説です。梨木香歩は小説が上手い!
なお、ご希望の方は私にご連絡いただければ文庫版を布教のためにお送りしますので、ponpoko.manjuあっとgmail.comまで「家守綺譚を寄越せ」というタイトルでメールをお送りください。
7.冬虫夏草(梨木香歩)
『家守綺譚』の続編です。
家守綺譚では守りをする友人の家の周辺で起こる出来事が描かれますが、飼い犬の失踪とその他諸々の理由から主人公は鈴鹿の山奥へ旅に出ます。なかなか件の友人が現れてくれないんですが、いざ現れた瞬間「家守綺譚を読んだ腐女子が1億回妄想した展開」が待ち構えているので心臓に悪いです。
梨木神、最高。10冊買った(そのうち6冊くらいは人にあげた)。
8.タスキメシ(額賀澪)
駅伝ものです。駅伝ものはそれだけで既に同性間高密度感情なのですが、この小説の怖ろしいところは「相互執着兄弟」が主人公であるという点です。
なお、続編がこの間出ました。今度職場にも入るはずだから入ったら借りて読みます。
9.都会のトムソーヤシリーズ(はやみねかおる)
中学校の図書室になかった? あったでしょ? 思い出してみて?
小説で妄想逞しくしている腐女子から「都会トムでこの趣味に目覚めた」としばしば聞きます。ヤングアダルト向けと侮らず、未読の方はご一読あれ。
10.機龍警察暗黒市場(機龍警察シリーズ)(月村了衛)
氷のような男、ユーリ・オズノフとそのかつての友人ゾロトフの憎しみと執着の物語です。「機龍警察シリーズ」というのがありまして、それの3作目になります。なお2作目は女女強感情です。
11.草の花(福永武彦)
サナトリウム。結核。旧制高等学校。弓道部。この単語から想像する世界観の通りです。
感傷的で美しい。あと男男感情が強い。もしかして旧制高校ではこれが標準だったんですか? やばい文化育んでたんだな旧制高校。どきどきしちゃうぜ。
12.新釈走れメロス 他四篇(森見登美彦)
森見登美彦が書くギャグ系の小説の主人公はだいたいホモソーシャル的態度むき出しなのでおすすめです。
ホモソーシャル的ではあるけれど、女性蔑視的ではない。そういう点で「ホモソーシャル的」です。だから女性人気が高い(らしい)んだろうな。
ちなみに表題作では桃色ブリーフで京都中を走り回ります。最悪だ。
13.夜は短し歩けよ乙女(森見登美彦)
上に同じくホモソ的です。そして美貌の学園祭事務局長が出てくる。なんと事務局長の趣味は女装!
そんな人生n回目みたいなチート京大生がうだつのあがらない男と仲良く友人関係であるんだから不思議だ。
14.異邦の騎士(御手洗潔シリーズ)(島田荘司)
御手洗潔シリーズのスタート地点。御手洗潔シリーズは腐女子人気凄いですよ。どれくらい凄いかというとミステリ小説系同人誌即売会(東京でしょっちゅうか開催されている。最近大阪でも行われた)で必ず本が出ているくらいには凄い。
15.占星術殺人事件(御手洗潔シリーズ)(島田荘司)
上に同じ。石岡くんと御手洗のやりとりに癒やされたりよこしまなことを考えたりしてください。
16.アイスクリン強し(畠中恵)
明治初頭の洋菓子職人の青年、ミナとその幼なじみの警官、長瀬と成金の娘がどったんばったん大騒ぎ!
割と腐女子の間では畠中さんは人気があるようです。
17. 若様組まいる(畠中恵)
上に同じ。表紙を見てぐっと来たらそのまま読んでいいと思います。
18.東京の三十年(田山花袋)
田山花袋が国木田独歩に出会うシーンがとてつもなくボーイズラブなんですけど、これってもしかしてナマモノBLになりますか?
青空文庫でも確か読めるので国木田独歩と田山花袋のボーイズラブに興味がある人は読んでみてください。
19.月世界小説(牧野修)
あらすじを読んでみてください。読めば全てが解ります。何回生まれ変わってもきみのことを愛しているよ系です。おすすめ!
20.宝石商リチャード氏の謎鑑定シリーズ(9巻)(辻村七子)
表紙にいるアジア系のいい男が表紙にいるヨーロッパ系のいい男を天然口説きをして見事落とす話です。
今度アニメ化するらしい。録画しよ……
21.海と毒薬(遠藤周作)
実際に九州帝国大学で起きた、捕虜のアメリカ兵を被験体にした人体実験に取材した小説。
テーマから察せられるように倫理を問いかけてくるしんどい話なのですが、主人公とその同僚のやりとりが腐女子的には嬉しかった……激重話における清涼剤だった……
22.コロロギ岳から木星トロヤへ(小川一水)
小説の登場人物の一人である女性が腐女子なんです。だいたいそこからして腐女子が軸となり、彼女にとって都合のいい物語が展開されるのは目に見えている。
ライトで楽しくさわやかな読後感です。
23.帝都一の下宿屋(三木笙子)
三木先生を信じろ! 心が疲れないライトな日常ミステリ小説を読みたいなら是非三木先生の作品を読んでみてください。
男男感情が濃厚なのですが、決して心を揺さぶられすぎてしんどいとか翌日になっても読んだ小説の男男感情の今年か考えられない……なんてことはないです。人によっては物足りなさを感じるかもしれない。
この話では家主の少年に頭の上がらない青年が愉快この上なく、尻に敷かれる年上の男は最高だぜ! と天高く腕を突き上げたくなります。
24.海うそ(梨木香歩)
梨木神を信じ、たたえよ!!
上で紹介した家守綺譚とは独立した、別のお話です。舞台は鹿児島県甑島。
主人公とその道案内役が一晩小屋で明かす場面があるのですが、朝食の味噌汁をめぐるやりとりがすばらしい。日常系BLが好きな人には是非読んでもらいたい。
時間の流れの無情さ、人のはかなさをしみじみと感じさせられる、ちょっぴりもの悲しいお話です。
25.左近の桜(左近の桜シリーズ)(長野まゆみ)
このテーマの記事で長野まゆみを出すのは正直卑怯かなと思ったのですが、書きます。長野まゆみは図書館で借りられるBLっぽい小説大賞堂々の1位というか、この手の話で出てこないことはないです。
なんなら長野まゆみ作家買いならぬ作家借りしてもいい。少年愛系、耽美系なのでそういった系統の作品が好きな人は是非。そういう人はすでに読んでそうだけど。
26.レモンタルト(長野まゆみ)
上に同じ。今回は主人公も主人公が思いを寄せる義兄も成人しています。成人しているからこそ婉曲的な性表現が生々しい。
私は長野まゆみ作品だとこの小説が好きです。カザフスタンにいたころ冬がつらすぎて気持ちが死にかけたので繰り返し読んで正気を保ちました。
27.あゝ、荒野(寺山修司)
「あゝ、荒野行動」と言いたいがために読んだだけだったのに、まさかこんなに生々しい男男感情が描かれているなんて……
生々しすぎて行間から汗の臭いとか漂ってきます。さすが寺山修司だなあ。
28.友情(武者小路実篤)
男と男の友情っ! これに反応しない同性間高密度感情小説のオタクはいない。
要諦は女性を巡る男と男の攻防そして友情なのですが、さわやかそうでさわやかじゃない、でもやっぱりさわやかな読み心地。
29.吉祥寺のパン兄弟(半田畔)
だいたいタイトルの通りです。兄弟、パン屋さん、吉祥寺!
正直タイトルで買った。夜読むとお腹が減るのでお腹いっぱいの時に読むのがおすすめです。
30.チーム(堂場瞬一)
駅伝ものです。箱根駅伝の関東学生連合チームで繰り広げられる男と男の熱い感情!
スポーツものが好きな人は是非読んでみてください。続編も確か3冊くらい出ていた気がする。
31.破戒(島崎藤村)
部落差別問題を取り扱う文学作品として有名な『破戒』ですが、主人公とその友人の信頼関係が腐女子にとって心地よい……
しかし題材がかなりハードなのでこういったとらえ方をしていいのだろうかという逡巡があります。
こういうのは読み手次第なので、いろいろな楽しみ方をさせてもらうよ私は。
32.マークスの山(高村薫)
高村薫とよく似た名前の作家で北村薫がいますが、この二者を区別する際には「男と男のハードボイルドな関係性が凄まじいか否か」
をチェック項目の1番目に入れておくとほかの項目がいらなくなります。つまりこの作品もそういうことです。
注目ポイントは主人公の合田刑事とその義兄(主人公は妻と離縁しているのですでに義理の兄ではないが……)の関係性!
義理の兄が勝手に部屋に入ってきてアイロン掛けたりしていきます。
文体は結構ハードめ。
33.風が強く吹いている(三浦しをん)
ちょうど去年の今頃アニメ放送していましたね。私は毎週見て卒業論文の乗り切る糧にしていました。30で紹介した「チーム」と同じく駅伝ものなのですが、リアルさとフィクションとしての見せ所のバランスが上手いという評価をよく目にします。
あとダブル主人公の清瀬と蔵原の関係性の光属性ぶりが評判がいいようです。わたしも好き。
34.李歐(高村薫)
高村薫を信じろ! 美貌で魔性の中国人男性と彼の魅力に引き込まれて阪大文学部をとっとと退学してしまった日本人男性の海を越えた要は恋愛譚です。
例のごとく高村薫なのでハードボイルドな空気感が漂います。美貌の中国人男性が唇に真っ赤な口紅を塗って「惚れたって言えよ」と言い放つシーンは何回読んでもぐっとくる。
しかし恐ろしいことにこの作品は作者が「娘に自分の作品を初めて読ませるなら」と考えて書いたとかなんとか。マジで? さすが高村先生……
35.宮廷神官物語シリーズ(榎田ユウリ)
BLレーベルでも活躍している作家によるライトノベルシリーズの新版です。表紙がだいぶ手に取りやすくなっているのがわかる。
やんちゃな少年の周囲の目が温かく優しく、そして宮中に渦巻く陰謀にボーイズラブの気配を色濃く感じます。
シリーズ続刊まだまだ出るようです。この間8巻が出ているのを書店で見た(買った)。
36.駆け込み訴え(太宰治)
イエスを裏切ったユダの独白文。とにかく勢いがあって純粋におもしろいんだけれど、ユダのイエスへの執着っぷりが凄まじく、もはや狂気です。
キリスト教ミリしら太郎でも楽しく読めましたがキリスト教徒的にどうなのかは寡聞にして知らん太郎です。
37.耽美なわしら(森奈津子)
ゲイとレズビアンとバイセクシュアルとノンセクシュアルがどったんばったん大騒ぎするギャグ系小説です。
早川文庫版の表紙がかわいい。
38.戦いの子シリーズ(カリン・ロワチー)
たしかこれは絶版になっています。おもしろいかおもしろくないかで言うと個人的には翻訳SFものとしてはおもしろいが……という何とも煮え切らない印象。
3作目の1巻。奴隷としてえらい目にあわされそうになっていた主人公くんが敵国のイケてて優しい兵士(高位)に養われ、当然のごとく敵国の兵士としてがんがんやったるで! という話。
なんだこのボーイズラブ鉄板みたいな話は。正気か? 正気じゃないから絶版になったのかもしれない。
39.故郷(魯迅)
教科書に載ってなかった? 載ってたよ!
教科書BLという表現があるのですが、そうした作品群の1つとしてあげられることがごくまれにあるとかないとか。
実家に帰ったら幼少期仲良く遊んだ少年が身分制度のためにすっかりよそよそしく卑屈になっていて大いに魯迅が傷つく話です。
ルントウに対する魯迅の感情がかなり強い。しかしこれもまたナマモノBLなのではないか。すまん魯迅。
40.野ばら(小川未明)
小川未明の話は全て短いので寝る前に読むのにぴったり! この話は敵国同士の国境警備兵二人の間で交わされる強い感情と友情、
そしてタイトルにもなっている野バラの象徴的な描写に注目です。
41.恩讐の彼方に(菊池寛)
執着とか復讐とかって、ボーイズラブなんだよなあ……
ここに出てくるのはボーイズじゃなくて坊主だけど……
42.夜見師(中村ふみ)
オーケー、一呼吸置いてググってみて。表紙が出てきただろ? 1巻と2巻の表紙がヒットしただろ?
だいたい想像できるとおりです。黒髪のしっとり系のいい男が金髪のやんちゃないい男にほだされる系です。
レーベルがホラー系なので実際話もオカルト・ホラー系だけど私でも読めたんだからだいたいの人がいけるのではないでしょうか。
なんせ私はホラーが何よりも駄目なので……
43.藤野先生(魯迅)
魯迅ナマモノBL第2弾! 今回は魯迅が日本に留学していた頃の恩師を探すために書いた小説!
魯迅は日本留学時代の恩師・藤野先生をいたく慕っていたのですが、音信不通になっちゃうんです。かわいそ~。
そこで魯迅は考えた、小説を書いて売ったら藤野先生が名乗り出てくれるのではないかと! 実際のところ名乗り出なかったため魯迅は藤野先生を見つける事は出来なかったようですが、藤野先生はこの小説を読んだんだとか。
学生時代はもとより、小説を書いている壮年期になるまでいかに藤野先生を慕っていたかがわかります。
44.聖なる黒夜(柴田よしき)
美貌の男がやくざの情人! そしてそのやくざは殺される! その捜査に当たる刑事! 強さともろさをあらわにする美貌の男!
読みながらボーイズラブレーベルか? と思うくらいだいたいそういう話です。
ちなみに韓国語版ではイケてる表紙イラストがついている。レッツ検索。
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ここまで書いて続きが唐突に面倒くさくなっちゃった……
そもそもこの記事を読んでくれる人はいるのか? そもそも同性間高密度感情とは何だ? 小説とは? 文学とは? 何もわからない。あと今日仕事が結構立て込んでて疲れた。
紹介文まで書ききれなかった分は以下に列挙します。
アマゾンとかであらすじを読んでみるといいんじゃないでしょうか。あとは「匂い系小説」でググるといろいろ出てきます。ただ古い記事が圧倒的に多い。インターネットでは死語なのでしょう。
45.Op.(オペレーション)ローズダスト(DAISシリーズ)(福井晴敏)
46.生まれいずる悩み(有島武郎)
47.竜の雨降る探偵社(三木笙子)
48.キングレオの冒険
49.キングレオの回想
50.男ふたりで12ケ月ごはん(椹野道流)
51.男ふたりで12ケ月おやつ(椹野道流)
52.桜宮サーガシリーズ(海堂尊)
53.膚の下(神林長平)
54.戦闘妖精・雪風(雪風シリーズ)(神林長平)
55.華竜の宮(上田早夕里)
56.敬語で旅する四人の男(麻宮ゆり子)
57.over the edge(探偵濱崎シリーズ)(堂場瞬一)
58.カカノムモノ(浅葉なつ)
59.亡国のイージス(DAISシリーズ)(福井晴敏)
60.プロメテウス・トラップ(福田和代)
61.帰らざる夏(加賀乙彦)
62.決壊石奇譚 百年の記憶(三木笙子)
63.月世界紳士録(三木笙子)
これ以外にもこれが同性間高密度感情小説! という情報がありましたらぜひ教えてください。
読むので。
おしまい
8月読んだのまとめ
「営繕かるかや怪異譚」 小野不由美
これ以上書かれると無理流石に無理! ってあたりでうまいこと尾端さんが出てくるので逆に安心感があった。ホラーがとにかく苦手なんだけど(エロとグロはいくらでも割と行ける)これは読めた。ナイス尾端。 堂原さんがなんだか可愛かった。
個人的に腐女子が喜ぶ要素は見当たらず。
「りかさん」 梨木香歩
「澄んだ差別をして、ものごとに区別をつけて行かなくてはならない」というおばあちゃんの言葉が、わかったようなわからなかったような。大事なことだというのは直感的に感じたので、この澄んだ差別とは何か? をもう少し咀嚼していきたい。「家守」のシーンがとても嬉しかった。まさに「家守綺譚」に繋がる言葉だと思う。
腐女子が喜ぶ要素は見当たらなかった。
「パブリックスクール 群れを出た小鳥」 樋口美紗緒
BL小説を久しぶりに読んで、もっとお尻を大事にしてあげてほしいと長時間電車に揺られて限界になったお尻を抱えながら思った(関東から九州まで10時間電車に乗る地獄のような旅程だった)。礼くんがとてもけなげで、まあよく相手をしばかないものだと思いながらも男同士の激情相撲に腐女子は大喜び! 今後も幸せにやっていってほしい。ディスコミュニケーションによるすれ違いを年単位でやってきたカップルなので……
「宮廷神官物語」 榎田ユウリ
今回も魅力的なキャラクターとストーリーだった。続きが気になる。王子と護衛の膝枕に大喜びしてしまった。腐女子なので……結局呪符の話はどう収拾がつくんだろう。続きが気になる(10月頃発売らしい)
ところで表紙のおのこが格好良すぎませんこと~~?
「夏の塩」 榎田尤利
ずいぶん昔に読んだのを再読。事務員の女性の話が記憶に残っていて(といってもどの本で読んだのかはさっぱり忘れていた)ああこの本だったのか、と思った。初読時の私が何を思ったかはもう覚えていないけれど、浮世離れして生きる魚住がとにかく痛々しい。マリさんの豪快さと繊細さを羨ましく感じた。
「帝都一の下宿屋」 三木笙子
三木笙子を信じろ! 桃介に対する主人公の振る舞いに腐女子大満足。いつも通り割とあっさり問題は解決する感じ。
おしまい
7月読んだのまとめ
3か月坊主(そんな日本語はない)で終わることなくできた。そもそも私は3日坊主のタイプじゃない……いまさらそんなことに気付くなんて、そんな……
●鳥と雲と薬草袋(梨木香歩)
九州の話が多く、昔よく通った道や行ったことのある場所の話が多くて少し嬉しい(西日本新聞連載ということで九州の話が多かったらしい)。
家守綺譚の続編にあたる冬虫夏草の舞台、東近江市の話もあった。確かに、由緒ある地名が現代風の名前に変わって面白みがなくなるのは残念だよな〜と思う。そうやって何事も変化していくのだとは思うけれど……
エッセイ集なので腐女子が喜ぶ要素は特になかった。
●海うそ(梨木香歩)
若かりし頃の秋野の感じた生き生きとした村の生活や、廃仏毀釈に対する苦い思いは読んでいて自分もそれを目の当たりにしたかのようだった。50年後の変わりようには読んでいるこちらも老いた秋野同様憤りはしたけれど、確かに「色即是空、空即是色」であるとすれば、個人が憤ったりするレベルのものではないのかもしれない。何かを得て、そして失い、代わりに何かを得るという話だったように思う。
そしてなにより家守綺譚の腐女子にはぜひとも読んでほしくて、というのも秋野と梶井君の味噌汁とおにぎりのシーンが感動的なんですね、腐女子大喜び。これを読んでからカジアキかアキカジかで数日悩み、その後カジアキとアキカジの両方で妄想たくましくしていたくらい。読んでほしい~~~~あわよくば二次創作を読みたい。BLな。
●不思議の国のグプタ―飛行機は、今日も遅れる(ヒロ前田、清涼院流水)
ツイッターで話題になっていた作品。着想が斬新、作中に織り込まれたTOEICネタが面白い。ただ、最終章があまりにも駆け足すぎて6章までの楽しさも台無しで、広げた風呂敷をもう少し丁寧にたたんでいたらもっと面白かったのに、惜しい、と感じた。
腐女子視点から楽しめる要素は特になかったかなという個人的な印象。
●左近の桜(長野まゆみ)
再読。何度読んでもエッチな家守綺譚なんだよな……う~ん……腐女子……
「西の魔女が死んだ」自体は大昔に読んでいたけれど、この作品集に載っている2本の短編のほうを読んだことがなかった。「ブラッキーの話」が、まだ癒えていない過去の事を思い出してしまってとても悲しかった。いつまでもこうしてはいられないとはわかっているけれど……
●からくりからくさ(梨木香歩)
女の人生とか女の生き方とか(こう書くと陳腐な感じがしてしまうのは何でだろう?)が書かれていて、妙な生々しさがあった。
「生々しい」は不愉快な、という意味ではないんだけれど、「女性たち」に軸を置いている分、書き手としても込める思いには並々ならぬものがあるし、読み手の私としても身につまされる(しかも主人公たちとほぼ同年齢)ものがあったんだろうなと感じた。
冒頭を読んでいると「自分は『作るひと』ではないんだな」という、何も作れない人間としての悔しさがあったんだけれど、読んでいくうちにそんな劣等感は感じなくなった。不思議~
腐女子的な視点で楽しむ本ではなかったかな~という印象(主人公たちが女性なのも大きい)。
●レモンタルト(長野まゆみ)
章を進むごとに内容が過激(かつ、腐女子が大喜びするもの)になっていった。面接で野球拳じみた脱衣をさせられる話は衝撃(この間まで就職活動してた人間は唖然とする)だった。「海」の比喩が章をまたいで最後に美しいモチーフとなっていた点が印象的。
今月の腐女子にオススメは「海うそ」でした。ダントツでそう。長野まゆみは殿堂入りしているので省く。
2018年6月 読んだのまとめ
3か月続いたので来月も続けられれば3日坊主ならぬ3か月坊主を回避できる。
●宮廷神官物語 一 (榎田ユウリ)
陰謀渦巻く宮廷を舞台とした(1巻終わりの方でようやく宮廷に辿り着くけど)アジアンファンタジー。そういう点では「守人シリーズ」を彷彿とさせる。お約束な展開や先が読めるような展開があったりもしたけど、キャラクター同士の掛け合いが愉快で私はとても気に入った。食欲(主に肉)が凄い神官(女性的な美形)、野生児(美形)、寡黙な男(男前)が旅をするので腐女子にうれしい。
●宮廷神官物語 二 (榎田ユウリ)
2巻まで読んでようやく元は角川ビーンズから出ていたシリーズだということを知った。装丁って大事なんだな……(ビーンズ版の装丁だったら9割9分手に取ってなかったと思う)今回もわりとお約束的な展開があったけど、姫のくだりは予想外だった。続きが楽しみ。
「あゝ、荒野行動」というつまらんギャグを堂々と言いたいがために「あゝ、荒野」に手を出したら、行間から立ち上る「時代の体臭」や男同士の激烈な精神的・肉体的交流を書き上げる寺山修司の筆力ににビビり上がってしまい、サムいギャグのこととかどうでもよくなってしまった。後半のバリカンから新次に対する独白が好き、なにせワタシは腐女子なので。
●エストニア紀行: 森の苔・庭の木漏れ日・海の葦 (梨木香歩)
家守綺譚のオタクやってるくせに梨木香歩作品を実はほとんど読んだことがなかった。最近静かで丁寧な筆致の本を読みたかったのでちょこちょこ読み始めたら、ぴったりはまった。本にも読み手毎の旬がある。高校の頃現代文の先生が「買ってみて面白くない、好きじゃない、合わないと思った本でも時間が経つと不思議としっくりくるものだ」と言っていたのを思い出した。こういうことだったのね。
読んでいて、自然や人に丁寧に向き合っている筆者の考え方が心地よかった。遠くに行きたくなった(割といつでも遠くに行きたがってはいる)。留学中に思ったことと似たようなことも書かれてあって(留学先も旧ソ連の「辺境」だったので)首を縦にふりふり読んだ。他のエッセイも読んでみたい。
エッセイの一つ一つに頷いたり、感心したりしているうちに一冊読み終わってしまった。飼い犬の話やプラスチック膜の話にかなり共感した。他にも、自分がうまく言葉にできないでいる考え方をばちっと文章にしている章は「そうそう、これだ!」と呼んでいてうれしいようなすっきりしたようなちょっと悔しいような気持ちになった。解説や本文中にもあるように、「五感」が開かれた人だなと思う。こういう風に豊かな感受性(か弱な繊細さという意味ではなく)を持って生きていきたいと思った。そう感じたことを思うと、表題が驚くほどしっくりきている。
●友情 (武者小路実篤)
主人公は杉子のことを褒めたたえるけれどそれは理想化されたもので(それを杉子自身も気付いている)、偶像に対する愛であればそれは嫌だろ……と杉子に対する同情でいっぱい。そして私は腐女子だから大宮と野島の友情、そいつがしかと胸に響いたぜ! うーん、男の男に対する信頼や嫉妬心やそれを上回る尊敬やこれらすべてを塗りつぶす罪悪感は滋養に良い。
●宝石商リチャード氏の謎鑑定 紅宝石の女王と裏切りの海 (辻村七子)
第2シリーズということで、中田くんが世界に羽ばたいていく様子が心強い。そして腐女子もすくみあがってしまうほどのお約束的ボーイズラブ展開。個性が異常に付与されたモブおじさん(それはもはやモブではない)の毒牙にかかる美貌の男! 戸惑わずにはいられない! エピローグの箱庭的空間が心地よかった(次巻に繋がるような不穏な出来事はあったけど)。
今月の腐女子の心に刺さったで賞は「あゝ、荒野」、面白かったで賞は「不思議な羅針盤」「エストニア紀行」でした。
おしまい
5月読んだのまとめ
ライト文芸(キャラクター小説)とライトノベルの違いがいまいちよくわかってない。エッチじゃないラノベはライト文芸って区分でいいの? わから~~ん!!!!
来年からの仕事が無事見つかったので(やったー!)これまで仕事探しにかけていた時間を本を読むことと長時間の昼寝に使えた。いい月だった。一生こうやって過ごしたい。つまり働きたくないということです。
●カカノムモノ 浅葉 なつ
帯の「美青年・バディものが好きならこれ!」みたいなアオリ文に惹かれて買った。
けれど予想よりバディ色が薄かったのでもっと濃かったら好みだった。
●カカノムモノ2 思い出を奪った男 浅葉 なつ
1巻と比較して激烈男男感情が強くなっていて大喜び! 従兄がバディに大嫉妬する! けれど従兄の話はメインではなかったので、おそらく次巻で進む話なのかも。楽しみ。
●若葉の戀 小林典雅
この表紙を見て思うところがない家守■譚のオタクはいなかった(ところで「キングレ■の冒険」の人たちに似てる)。
初恋物語というだけあって面倒臭く辛いこと間違いなしの将来についてはほぼ触れられていないので読んでてしんどくはない。
初っ端から「旧制高校の不衛生ぶり」が描写されているので好感度高かった。
●パブリックスクール 檻の中の王 樋口美紗緒
身寄りのない可愛い系の少年(受け)がひたすら不憫な目にあう! 好きな人は大好きな要素を詰め込んだカンジ。心理描写が細やかで読みごたえのあるボーイズラブだった。人気シリーズなのにも納得。続きが気になる。
●ノーモアベット 一穂ミチ
正直読んだ直後何の感想も浮かばなかった恐ろしい小説だった……「幸せになれて良かったね!」くらいしか思えなかった……
この作者は多筆ということでボーイズラブ小説人気検索をしてみると頻繁に上位に入ってくるけれど正直私には合わないような気がする。
同上……読んだ直後何の感想も浮かばなかった恐ろしい小説だった……(二回目)「幸せになれて良かったね!」くらいしか(二回目)
このシリーズはかなり人気らしいけれど面白いとは思えなかったから、やっぱりこの作者は私には向いてないんだと思う。今後はこの作者のは避けたほうが賢明かもしれない。
●もってけ屋敷と僕の読書日記 三川みり
くじけずこれからも男が二人並んでいる小説に挑み続けたい。男が二人並んでいる限り……腐女子の意地と誇りをかけて……
●月世界紳士録 三木笙子
三木笙子先生を信じて福利厚生度を上げよう。
ミステリとして読む場合にはライトノベルの域を出ていないとは思うけれど、人間ドラマ・男同士の掛け合い・落ち着いた雰囲気と文章で大喜び。
あと時々こじらせた腐女子が喜びそうなやり取りがあったのも良かった。私は腐女子なので。
●f植物園の巣穴 梨木香歩
家守綺譚で人生を滅茶苦茶にする決心を固めたくせにf植物園の巣穴は未読だったのが自分でも信じられない。
不思議の国の佐田豊彦、でまとめられるような気がする。中盤までの主人公佐田の、妻に対する発言というか女性(概念的な意味で)に対する評価が腹立たしいことこの上なかった……読んでて嫌な気持ちになってしまった。終盤になるとその冷たい突き放したような態度の理由がわかるけど。
幻想的な雰囲気や文体の心地よさ、夢と現実が混ざる様子が良かった。オススメ! 尚、男性同士の濃厚な精神的交流はない。
●吉祥寺のパン兄弟
ひ、表紙に顔の綺麗な男が二人並んでてしかも帯に「兄弟愛」だなんてアオリ文があったから買っちゃった~~! 恋愛要素皆無の人情系の話。「なんやかんやでうまくいってよかったね」という読後感。読んでてお腹が減るので寝る前に読んでは駄目。
●銀の匙
わくわくTwitterランドで大暴れしてたらフォロワーが「銀の匙って家守綺譚ぽい」とつぶやいていたので、暴れるのを止めて本棚の奥で眠っていたのを引きずりだして読んでみたら、まあ、なんと家守綺譚であることか! ただし私はガバガバ家守綺譚判定士なのでアテにしないでください。具体的にどこが家守綺譚なのかというと、風景の描写が美しいこと、「書き手」が彼自身の生活や行動、思考を細やかに記述しているところ、落ち着いた文章、などなど、です。全然具体じゃないな~
●文学男子のほっこり恋レシピ 牧山とも
文学、ごはん、ボーイズラブ! 好きなものを3つ組み合わせたBL小説が面白くないわけないと思ったけど、あまり趣味じゃなかった。
「スパダリ」が好きではないのと、地の文の不慣れな感じ(急に使用語彙が硬くなったり柔らかくなったりと読んでいて引っ掛かりを感じる)が原因?
●丹生都比売 梨木香歩
表題作と「夏の朝」がお気に入り。全編を通じて、心に沁み込んでいくような美しい文章だった。草壁皇子の心のやわらかさ、現実に抗うことなく受け入れていく生き方、そして情景の美しさが素晴らしかった。この本の醍醐味はあとがきにあるような気もする。帯にも書かれている、あとがきの最後の一文が胸を打った。
今月は「パブリックスクール」「銀の匙」「丹生都比売」が面白かった。
ついさっきツイッターで見たんだけど風が強く吹いている、アニメ化マジ?! 嬉しすぎて変な踊りをしてしまった。
おしまい。
2018年4月 読んだのまとめ
フォロワーがその月毎に読んだ本をまとめているのを見て、オッ私も真似したろ! と思ったので真似してみることにしました。いつまで続くかは知らん。
4月はシューカツで忙しくて(真面目にやっていないにも関わらず!)読む気が起こらずほとんど読めない月でした。たまにはそういうこともある。仕事探しなんてやるもんじゃない。
「兄と弟、あるいは書物と燃える石」長野まゆみ
https://www.amazon.co.jp/dp/4479650113/ref=cm_sw_r_tw_api_i_Ban-Ab5PNZ737
捉えどころのない話だったなあという印象。長野まゆみだしこのタイトルだし絶対にボーイズ・ラブとかボーイズ執着とかを効率よく摂取できるに違いない! と思ったらそうでもなかった。
「殺人出産」 村田紗耶香
https://www.amazon.co.jp/dp/406219046X/ref=cm_sw_r_tw_api_i_Bbn-AbJRHKTQZ
今月一番面白かった本。面接前に読んだので倫理観がグラグラになった。表題作が一番好き。常識、倫理、正義だと疑わないものをここまで揺さぶってくる。
「黄泉坂案内人」
https://www.amazon.co.jp/dp/4041017823/ref=cm_sw_r_tw_api_i_2cn-AbR3DBQDK
かわいいな〜〜という印象。でも心を揺さぶる何かはなかった。シリーズ化してるらしい。これで同性同士の関係が強烈だったらファンになってた(腐女子)
おしまい