シプカ峠と共産党旧本部



ブルガリア中央部にはカザンラクという町があります。毎年六月にバラ祭りという観光客が集まる祭りが開催される町ですが、私が行ったのは8月の頭。特に何もない普通の町でした。

体調を崩したこともあり、タクシーでそのまま近郊のシプカ村へ。10レヴァ。当日のレートで600円くらいですから、安いです。バスも出ているそうですがヴェリコタルノヴォ→カザンラクのバスが停まる場所はバスターミナルから多少離れているので、タクシーの方が便利でいいかもしれません。

 

シプカ村は何もない村ですが、観光地化されていない普通の田舎の風景を見ることができます。なお住民の皆さんは外国人を見かけるとロシア語で話しかけるスタイルのようです。英語じゃないのな。

 

宿泊したのはシプカITホテル。スタッフのおばちゃんは親切で英語が上手でそしてこのあたりでは最もお安いながら大変すばらしい部屋でさらにはプールがあります。

プールがあります。

水着を持ってきましょう!

 

どうやらシプカ村には日本人が住んでいたらしく、看板には日本語が。田舎具合といい背景に広がる山といい、なんとなく故郷の九州の山奥を思い出しました。

 

このシプカ村、シプカ峠ハイキングのためだけに宿泊したのですが、なんとシプカ峠の近くにはかの有名な廃墟、ブルガリア共産党旧本部があることが判明。体調が万全でないこともあり、タクシーでシプカ峠と旧本部廃墟に行くことにしました。ホテルで頼んだタクシーで40レヴァぽっきりでしたから、かなりお手頃でした。

 

まずは旧本部廃墟から。


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インターネットには中にはいれた!という情報がありますが、2016年8月現在頑丈なフェンスと防犯カメラに守られ、とてもじゃありませんが中に入れる様子ではありませんでした。ホテルのおじさんによると、壊れかけで危ないからちょっと前にフェンスができたのだとか。絶対に中に入っちゃダメだよ! と念押しされました。

中には入れませんでしたが、外から見てもその珍妙さがわかります。でかい。丸い。でかい。なぜこんなところにこんな建物を建てたのか。田舎の村から山道をくねくね行った先に建っており、夏でも寒い(長袖を持っていくのをおすすめします)。お世辞にも良い場所に建てたとは言いがたい。タクシーのお兄さんいわく、この土地はシプカの戦いの舞台、つまりブルガリア人にとって非常に大切な場所だからだそうです。なるほど。

 

なお、山の頂上にこの個性的すぎる建物をたてたせいか、建造費用より解体費用の方が高くなってしまい、壊すに壊せないのだそうです。ブルガリアただでさえカツカツなのに、それじゃあ放置するしかない……

 

お次はシプカ峠。


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この峠はブルガリア独立にとって非常に重要な戦跡です。露土戦争時、この地でロシア軍ブルガリア義勇兵軍とトルコ軍が戦いを繰り広げました。砲台(台座の石組み)が当時のまま残され、頂上にはモニュメントがあり、中に入れます。階段上って右手にあるチケット売り場で3レヴァでチケット購入。モニュメントの中にはブルガリアとロシアの国旗、ブルガリア兵とロシア兵の像が。棺もあります。さらに当時兵士が持っていた十字架や銃弾、指揮官の絵や進軍図、制服、そのたもろもろの展示もあります。最上階まで上るとシプカ峠を眺望できます。よいながめ。

 

シプカ峠はロシア人観光客が多かったです。

なお、モニュメントのまわりには観光客によって踏み均された道があり、あたりを歩き回れますが柵などはいっさいなく、どんくさい人はツルツルの石ですベってほぼ90°の絶壁を転げ落ちそうになるので注意した方がいいです。死ぬかと思った。本当にこわかった。

 

メイン観光地から外れた場所ですが、ブルガリアの歴史に興味のあるかたは是非訪れてみてください。