7月読んだのまとめ
3か月坊主(そんな日本語はない)で終わることなくできた。そもそも私は3日坊主のタイプじゃない……いまさらそんなことに気付くなんて、そんな……
●鳥と雲と薬草袋(梨木香歩)
九州の話が多く、昔よく通った道や行ったことのある場所の話が多くて少し嬉しい(西日本新聞連載ということで九州の話が多かったらしい)。
家守綺譚の続編にあたる冬虫夏草の舞台、東近江市の話もあった。確かに、由緒ある地名が現代風の名前に変わって面白みがなくなるのは残念だよな〜と思う。そうやって何事も変化していくのだとは思うけれど……
エッセイ集なので腐女子が喜ぶ要素は特になかった。
●海うそ(梨木香歩)
若かりし頃の秋野の感じた生き生きとした村の生活や、廃仏毀釈に対する苦い思いは読んでいて自分もそれを目の当たりにしたかのようだった。50年後の変わりようには読んでいるこちらも老いた秋野同様憤りはしたけれど、確かに「色即是空、空即是色」であるとすれば、個人が憤ったりするレベルのものではないのかもしれない。何かを得て、そして失い、代わりに何かを得るという話だったように思う。
そしてなにより家守綺譚の腐女子にはぜひとも読んでほしくて、というのも秋野と梶井君の味噌汁とおにぎりのシーンが感動的なんですね、腐女子大喜び。これを読んでからカジアキかアキカジかで数日悩み、その後カジアキとアキカジの両方で妄想たくましくしていたくらい。読んでほしい~~~~あわよくば二次創作を読みたい。BLな。
●不思議の国のグプタ―飛行機は、今日も遅れる(ヒロ前田、清涼院流水)
ツイッターで話題になっていた作品。着想が斬新、作中に織り込まれたTOEICネタが面白い。ただ、最終章があまりにも駆け足すぎて6章までの楽しさも台無しで、広げた風呂敷をもう少し丁寧にたたんでいたらもっと面白かったのに、惜しい、と感じた。
腐女子視点から楽しめる要素は特になかったかなという個人的な印象。
●左近の桜(長野まゆみ)
再読。何度読んでもエッチな家守綺譚なんだよな……う~ん……腐女子……
「西の魔女が死んだ」自体は大昔に読んでいたけれど、この作品集に載っている2本の短編のほうを読んだことがなかった。「ブラッキーの話」が、まだ癒えていない過去の事を思い出してしまってとても悲しかった。いつまでもこうしてはいられないとはわかっているけれど……
●からくりからくさ(梨木香歩)
女の人生とか女の生き方とか(こう書くと陳腐な感じがしてしまうのは何でだろう?)が書かれていて、妙な生々しさがあった。
「生々しい」は不愉快な、という意味ではないんだけれど、「女性たち」に軸を置いている分、書き手としても込める思いには並々ならぬものがあるし、読み手の私としても身につまされる(しかも主人公たちとほぼ同年齢)ものがあったんだろうなと感じた。
冒頭を読んでいると「自分は『作るひと』ではないんだな」という、何も作れない人間としての悔しさがあったんだけれど、読んでいくうちにそんな劣等感は感じなくなった。不思議~
腐女子的な視点で楽しむ本ではなかったかな~という印象(主人公たちが女性なのも大きい)。
●レモンタルト(長野まゆみ)
章を進むごとに内容が過激(かつ、腐女子が大喜びするもの)になっていった。面接で野球拳じみた脱衣をさせられる話は衝撃(この間まで就職活動してた人間は唖然とする)だった。「海」の比喩が章をまたいで最後に美しいモチーフとなっていた点が印象的。
今月の腐女子にオススメは「海うそ」でした。ダントツでそう。長野まゆみは殿堂入りしているので省く。