8月読んだのまとめ

「営繕かるかや怪異譚」 小野不由美

 これ以上書かれると無理流石に無理! ってあたりでうまいこと尾端さんが出てくるので逆に安心感があった。ホラーがとにかく苦手なんだけど(エロとグロはいくらでも割と行ける)これは読めた。ナイス尾端。 堂原さんがなんだか可愛かった。
 個人的に腐女子が喜ぶ要素は見当たらず。

 

「りかさん」 梨木香歩

「澄んだ差別をして、ものごとに区別をつけて行かなくてはならない」というおばあちゃんの言葉が、わかったようなわからなかったような。大事なことだというのは直感的に感じたので、この澄んだ差別とは何か? をもう少し咀嚼していきたい。「家守」のシーンがとても嬉しかった。まさに「家守綺譚」に繋がる言葉だと思う。
 腐女子が喜ぶ要素は見当たらなかった。

 

パブリックスクール 群れを出た小鳥」 樋口美紗緒

BL小説を久しぶりに読んで、もっとお尻を大事にしてあげてほしいと長時間電車に揺られて限界になったお尻を抱えながら思った(関東から九州まで10時間電車に乗る地獄のような旅程だった)。礼くんがとてもけなげで、まあよく相手をしばかないものだと思いながらも男同士の激情相撲に腐女子は大喜び! 今後も幸せにやっていってほしい。ディスコミュニケーションによるすれ違いを年単位でやってきたカップルなので……

 

「宮廷神官物語」 榎田ユウリ

今回も魅力的なキャラクターとストーリーだった。続きが気になる。王子と護衛の膝枕に大喜びしてしまった。腐女子なので……結局呪符の話はどう収拾がつくんだろう。続きが気になる(10月頃発売らしい)
ところで表紙のおのこが格好良すぎませんこと~~?

 

「夏の塩」 榎田尤利

ずいぶん昔に読んだのを再読。事務員の女性の話が記憶に残っていて(といってもどの本で読んだのかはさっぱり忘れていた)ああこの本だったのか、と思った。初読時の私が何を思ったかはもう覚えていないけれど、浮世離れして生きる魚住がとにかく痛々しい。マリさんの豪快さと繊細さを羨ましく感じた。

 

「帝都一の下宿屋」 三木笙子

三木笙子を信じろ! 桃介に対する主人公の振る舞いに腐女子大満足。いつも通り割とあっさり問題は解決する感じ。

 

 

おしまい

 

 

 

7月読んだのまとめ

3か月坊主(そんな日本語はない)で終わることなくできた。そもそも私は3日坊主のタイプじゃない……いまさらそんなことに気付くなんて、そんな……

 

 

●鳥と雲と薬草袋(梨木香歩

 九州の話が多く、昔よく通った道や行ったことのある場所の話が多くて少し嬉しい(西日本新聞連載ということで九州の話が多かったらしい)。
 家守綺譚の続編にあたる冬虫夏草の舞台、東近江市の話もあった。確かに、由緒ある地名が現代風の名前に変わって面白みがなくなるのは残念だよな〜と思う。そうやって何事も変化していくのだとは思うけれど……
 エッセイ集なので腐女子が喜ぶ要素は特になかった。

 

●海うそ(梨木香歩

 若かりし頃の秋野の感じた生き生きとした村の生活や、廃仏毀釈に対する苦い思いは読んでいて自分もそれを目の当たりにしたかのようだった。50年後の変わりようには読んでいるこちらも老いた秋野同様憤りはしたけれど、確かに「色即是空、空即是色」であるとすれば、個人が憤ったりするレベルのものではないのかもしれない。何かを得て、そして失い、代わりに何かを得るという話だったように思う。
 そしてなにより家守綺譚の腐女子にはぜひとも読んでほしくて、というのも秋野と梶井君の味噌汁とおにぎりのシーンが感動的なんですね、腐女子大喜び。これを読んでからカジアキかアキカジかで数日悩み、その後カジアキとアキカジの両方で妄想たくましくしていたくらい。読んでほしい~~~~あわよくば二次創作を読みたい。BLな。

 

●不思議の国のグプタ―飛行機は、今日も遅れる(ヒロ前田、清涼院流水

 ツイッターで話題になっていた作品。着想が斬新、作中に織り込まれたTOEICネタが面白い。ただ、最終章があまりにも駆け足すぎて6章までの楽しさも台無しで、広げた風呂敷をもう少し丁寧にたたんでいたらもっと面白かったのに、惜しい、と感じた。
 腐女子視点から楽しめる要素は特になかったかなという個人的な印象。

 

●左近の桜(長野まゆみ

 再読。何度読んでもエッチな家守綺譚なんだよな……う~ん……腐女子……

 

西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集(梨木香歩

 「西の魔女が死んだ」自体は大昔に読んでいたけれど、この作品集に載っている2本の短編のほうを読んだことがなかった。「ブラッキーの話」が、まだ癒えていない過去の事を思い出してしまってとても悲しかった。いつまでもこうしてはいられないとはわかっているけれど……

 

●からくりからくさ(梨木香歩

 女の人生とか女の生き方とか(こう書くと陳腐な感じがしてしまうのは何でだろう?)が書かれていて、妙な生々しさがあった。
 「生々しい」は不愉快な、という意味ではないんだけれど、「女性たち」に軸を置いている分、書き手としても込める思いには並々ならぬものがあるし、読み手の私としても身につまされる(しかも主人公たちとほぼ同年齢)ものがあったんだろうなと感じた。
 冒頭を読んでいると「自分は『作るひと』ではないんだな」という、何も作れない人間としての悔しさがあったんだけれど、読んでいくうちにそんな劣等感は感じなくなった。不思議~
 腐女子的な視点で楽しむ本ではなかったかな~という印象(主人公たちが女性なのも大きい)。

 

●レモンタルト(長野まゆみ

 章を進むごとに内容が過激(かつ、腐女子が大喜びするもの)になっていった。面接で野球拳じみた脱衣をさせられる話は衝撃(この間まで就職活動してた人間は唖然とする)だった。「海」の比喩が章をまたいで最後に美しいモチーフとなっていた点が印象的。

 

 

 

 

 

 

今月の腐女子にオススメは「海うそ」でした。ダントツでそう。長野まゆみは殿堂入りしているので省く。

 

2018年6月 読んだのまとめ

 

 

3か月続いたので来月も続けられれば3日坊主ならぬ3か月坊主を回避できる。

 

 

 ●宮廷神官物語 一 (榎田ユウリ

陰謀渦巻く宮廷を舞台とした(1巻終わりの方でようやく宮廷に辿り着くけど)アジアンファンタジー。そういう点では「守人シリーズ」を彷彿とさせる。お約束な展開や先が読めるような展開があったりもしたけど、キャラクター同士の掛け合いが愉快で私はとても気に入った。食欲(主に肉)が凄い神官(女性的な美形)、野生児(美形)、寡黙な男(男前)が旅をするので腐女子にうれしい。

 

●宮廷神官物語 二 (榎田ユウリ

2巻まで読んでようやく元は角川ビーンズから出ていたシリーズだということを知った。装丁って大事なんだな……(ビーンズ版の装丁だったら9割9分手に取ってなかったと思う)今回もわりとお約束的な展開があったけど、姫のくだりは予想外だった。続きが楽しみ。

 

あゝ、荒野 (寺山修司

あゝ、荒野行動」というつまらんギャグを堂々と言いたいがために「あゝ、荒野」に手を出したら、行間から立ち上る「時代の体臭」や男同士の激烈な精神的・肉体的交流を書き上げる寺山修司の筆力ににビビり上がってしまい、サムいギャグのこととかどうでもよくなってしまった。後半のバリカンから新次に対する独白が好き、なにせワタシは腐女子なので。

 

エストニア紀行: 森の苔・庭の木漏れ日・海の葦 (梨木香歩

 家守綺譚のオタクやってるくせに梨木香歩作品を実はほとんど読んだことがなかった。最近静かで丁寧な筆致の本を読みたかったのでちょこちょこ読み始めたら、ぴったりはまった。本にも読み手毎の旬がある。高校の頃現代文の先生が「買ってみて面白くない、好きじゃない、合わないと思った本でも時間が経つと不思議としっくりくるものだ」と言っていたのを思い出した。こういうことだったのね。
 読んでいて、自然や人に丁寧に向き合っている筆者の考え方が心地よかった。遠くに行きたくなった(割といつでも遠くに行きたがってはいる)。留学中に思ったことと似たようなことも書かれてあって(留学先も旧ソ連の「辺境」だったので)首を縦にふりふり読んだ。他のエッセイも読んでみたい。

 

●不思議な羅針盤 (梨木香歩

 エッセイの一つ一つに頷いたり、感心したりしているうちに一冊読み終わってしまった。飼い犬の話やプラスチック膜の話にかなり共感した。他にも、自分がうまく言葉にできないでいる考え方をばちっと文章にしている章は「そうそう、これだ!」と呼んでいてうれしいようなすっきりしたようなちょっと悔しいような気持ちになった。解説や本文中にもあるように、「五感」が開かれた人だなと思う。こういう風に豊かな感受性(か弱な繊細さという意味ではなく)を持って生きていきたいと思った。そう感じたことを思うと、表題が驚くほどしっくりきている。

 

●友情 (武者小路実篤

主人公は杉子のことを褒めたたえるけれどそれは理想化されたもので(それを杉子自身も気付いている)、偶像に対する愛であればそれは嫌だろ……と杉子に対する同情でいっぱい。そして私は腐女子だから大宮と野島の友情、そいつがしかと胸に響いたぜ! うーん、男の男に対する信頼や嫉妬心やそれを上回る尊敬やこれらすべてを塗りつぶす罪悪感は滋養に良い。

 

●宝石商リチャード氏の謎鑑定 紅宝石の女王と裏切りの海 (辻村七子)

第2シリーズということで、中田くんが世界に羽ばたいていく様子が心強い。そして腐女子もすくみあがってしまうほどのお約束的ボーイズラブ展開。個性が異常に付与されたモブおじさん(それはもはやモブではない)の毒牙にかかる美貌の男! 戸惑わずにはいられない! エピローグの箱庭的空間が心地よかった(次巻に繋がるような不穏な出来事はあったけど)。

 

 

 

今月の腐女子の心に刺さったで賞は「あゝ、荒野」、面白かったで賞は「不思議な羅針盤」「エストニア紀行」でした。

 

 

 

 

おしまい

5月読んだのまとめ

ライト文芸(キャラクター小説)とライトノベルの違いがいまいちよくわかってない。エッチじゃないラノベライト文芸って区分でいいの? わから~~ん!!!!

来年からの仕事が無事見つかったので(やったー!)これまで仕事探しにかけていた時間を本を読むことと長時間の昼寝に使えた。いい月だった。一生こうやって過ごしたい。つまり働きたくないということです。

 

 

●カカノムモノ  浅葉 なつ

 帯の「美青年・バディものが好きならこれ!」みたいなアオリ文に惹かれて買った。
けれど予想よりバディ色が薄かったのでもっと濃かったら好みだった。

 

●カカノムモノ2 思い出を奪った男   浅葉 なつ

 1巻と比較して激烈男男感情が強くなっていて大喜び! 従兄がバディに大嫉妬する! けれど従兄の話はメインではなかったので、おそらく次巻で進む話なのかも。楽しみ。

 

●若葉の戀  小林典雅

 この表紙を見て思うところがない家守■譚のオタクはいなかった(ところで「キングレ■の冒険」の人たちに似てる)。
恋物語というだけあって面倒臭く辛いこと間違いなしの将来についてはほぼ触れられていないので読んでてしんどくはない。
初っ端から「旧制高校の不衛生ぶり」が描写されているので好感度高かった。

 

パブリックスクール 檻の中の王   樋口美紗緒

 身寄りのない可愛い系の少年(受け)がひたすら不憫な目にあう! 好きな人は大好きな要素を詰め込んだカンジ。心理描写が細やかで読みごたえのあるボーイズラブだった。人気シリーズなのにも納得。続きが気になる。

 

●ノーモアベット   一穂ミチ

 正直読んだ直後何の感想も浮かばなかった恐ろしい小説だった……「幸せになれて良かったね!」くらいしか思えなかった……
この作者は多筆ということでボーイズラブ小説人気検索をしてみると頻繁に上位に入ってくるけれど正直私には合わないような気がする。

 

●イエスかノーか半分か   一穂ミチ

 同上……読んだ直後何の感想も浮かばなかった恐ろしい小説だった……(二回目)「幸せになれて良かったね!」くらいしか(二回目)
このシリーズはかなり人気らしいけれど面白いとは思えなかったから、やっぱりこの作者は私には向いてないんだと思う。今後はこの作者のは避けたほうが賢明かもしれない。

 

●もってけ屋敷と僕の読書日記   三川みり

くじけずこれからも男が二人並んでいる小説に挑み続けたい。男が二人並んでいる限り……腐女子の意地と誇りをかけて……

 

●月世界紳士録   三木笙子

 三木笙子先生を信じて福利厚生度を上げよう。
 ミステリとして読む場合にはライトノベルの域を出ていないとは思うけれど、人間ドラマ・男同士の掛け合い・落ち着いた雰囲気と文章で大喜び。
あと時々こじらせた腐女子が喜びそうなやり取りがあったのも良かった。私は腐女子なので。

 

●f植物園の巣穴   梨木香歩

 家守綺譚で人生を滅茶苦茶にする決心を固めたくせにf植物園の巣穴は未読だったのが自分でも信じられない。
 不思議の国の佐田豊彦、でまとめられるような気がする。中盤までの主人公佐田の、妻に対する発言というか女性(概念的な意味で)に対する評価が腹立たしいことこの上なかった……読んでて嫌な気持ちになってしまった。終盤になるとその冷たい突き放したような態度の理由がわかるけど。
幻想的な雰囲気や文体の心地よさ、夢と現実が混ざる様子が良かった。オススメ! 尚、男性同士の濃厚な精神的交流はない。

 

●吉祥寺のパン兄弟

 ひ、表紙に顔の綺麗な男が二人並んでてしかも帯に「兄弟愛」だなんてアオリ文があったから買っちゃった~~! 恋愛要素皆無の人情系の話。「なんやかんやでうまくいってよかったね」という読後感。読んでてお腹が減るので寝る前に読んでは駄目。

 

銀の匙    

 わくわくTwitterランドで大暴れしてたらフォロワーが「銀の匙って家守綺譚ぽい」とつぶやいていたので、暴れるのを止めて本棚の奥で眠っていたのを引きずりだして読んでみたら、まあ、なんと家守綺譚であることか! ただし私はガバガバ家守綺譚判定士なのでアテにしないでください。具体的にどこが家守綺譚なのかというと、風景の描写が美しいこと、「書き手」が彼自身の生活や行動、思考を細やかに記述しているところ、落ち着いた文章、などなど、です。全然具体じゃないな~

 

 ●文学男子のほっこり恋レシピ   牧山とも

文学、ごはん、ボーイズラブ! 好きなものを3つ組み合わせたBL小説が面白くないわけないと思ったけど、あまり趣味じゃなかった。
「スパダリ」が好きではないのと、地の文の不慣れな感じ(急に使用語彙が硬くなったり柔らかくなったりと読んでいて引っ掛かりを感じる)が原因? 

 

 ●丹生都比売   梨木香歩

 表題作と「夏の朝」がお気に入り。全編を通じて、心に沁み込んでいくような美しい文章だった。草壁皇子の心のやわらかさ、現実に抗うことなく受け入れていく生き方、そして情景の美しさが素晴らしかった。この本の醍醐味はあとがきにあるような気もする。帯にも書かれている、あとがきの最後の一文が胸を打った。

 

 

今月は「パブリックスクール」「銀の匙」「丹生都比売」が面白かった。

 

 

ついさっきツイッターで見たんだけど風が強く吹いている、アニメ化マジ?! 嬉しすぎて変な踊りをしてしまった。

 

 

 

 

おしまい。

2018年4月 読んだのまとめ

 

フォロワーがその月毎に読んだ本をまとめているのを見て、オッ私も真似したろ! と思ったので真似してみることにしました。いつまで続くかは知らん。

4月はシューカツで忙しくて(真面目にやっていないにも関わらず!)読む気が起こらずほとんど読めない月でした。たまにはそういうこともある。仕事探しなんてやるもんじゃない。

 

 

「兄と弟、あるいは書物と燃える石」長野まゆみ

https://www.amazon.co.jp/dp/4479650113/ref=cm_sw_r_tw_api_i_Ban-Ab5PNZ737 

捉えどころのない話だったなあという印象。長野まゆみだしこのタイトルだし絶対にボーイズ・ラブとかボーイズ執着とかを効率よく摂取できるに違いない! と思ったらそうでもなかった。


「殺人出産」 村田紗耶香

https://www.amazon.co.jp/dp/406219046X/ref=cm_sw_r_tw_api_i_Bbn-AbJRHKTQZ 
今月一番面白かった本。面接前に読んだので倫理観がグラグラになった。表題作が一番好き。常識、倫理、正義だと疑わないものをここまで揺さぶってくる。


「黄泉坂案内人」

https://www.amazon.co.jp/dp/4041017823/ref=cm_sw_r_tw_api_i_2cn-AbR3DBQDK 
かわいいな〜〜という印象。でも心を揺さぶる何かはなかった。シリーズ化してるらしい。これで同性同士の関係が強烈だったらファンになってた(腐女子

 

 

 

おしまい

マニ・機関銃と功徳の話

 

私の兄は個性的な中学生だったので、修学旅行の前日に唐突に剃髪したり、マニ車を買ってきて回しながら勉強したりしていました。彼はそのまますくすく健康だったり健康じゃなかったりしながらも育ち、31歳の今、出家するでもなく普通の会社員として生活しています。ちなみに実家は信仰が特別厚いわけでもなく、適当な葬式仏教の檀家です。

 

それにしても、なぜ男子中学生が唐突に仏門(しかもチベット仏教)に目覚めたのかはさっぱりわからない!20年前の男子中学生の間ではチベット仏教が流行っていたんでしょうか?

 

 

さて、マニ車です。

 

マニ車というのは中に経(マニ経)が入れられていて、それをくるくると回すと回した回数だけ経典を読んだことになるという、チベット仏教のステキ仏具。経典を読めば読むほど徳を積むことができるので、多く回すほど徳が積めるというとても便利なグッズです。

一般的には手で回すものが多いのですが(兄が使っていたマニ車は手回し式だった)、チベット仏教の本場・チベットには水力・風力・火力(行燈の熱で回転する紙製のものの場合)で回転させるものもあるそうです。つまり己の腕力で回さずとも所有者・利用者は功徳を積むことができる!これほど便利なものはない。

 

このように、人力でなくても功徳を積むことができるマニ車ですから、回転体にマニ経を仕込めばそれは立派なマニ車になるのです。

たとえば車の車軸はどうでしょうか。高速で回転するものなので、効率よく功徳を積むことができますね。また車軸とタイヤの2か所にマニ車を仕込むと、回転速度が等しいと仮定した場合、功徳をNとおくとNの2乗の功徳を積むことができます。さらに車軸の両端にタイヤがついているので、Nの2乗×2の功徳を積むことができます。

功徳はべき乗で増えるのか、単純に加算法で増えるのかは正直よくわからないですが、べき乗で増えたほうが効率がいいのでべき乗で増えてもらうことにしましょう。

 

ところで、車以外にもこの世には回転体がたくさんあります。その中には「徳は積めないだろう」というもの、つまり仏教的にはアウトな道具ももちろんあるわけです。多くの宗教がそうであるように仏教にもタブーがあるわけですが、仏教が殺生を禁じているのは信仰心のかけらもなくこんなブログ記事を書いている私でも知っています。

禁忌を破る、つまり殺生をするための道具、それは武器です。武器にはたくさんの種類がありますが、ここで問題にしたいのは回転効率のよさです。とにかく速く回転して、ついでに回転する部分が複数あるものがいい。その回転する部分もそれぞれが独立していては徳のべき乗(あるいは加算法)ができないので、連続した機関として回転体がつながっているものがいい。それはなにか。

 

 

 

 

 

機関銃です!

 

他にもあるだろうけれど、私は正直武器にはあまり興味がないため詳しいことはよくわかりません。けれど機関銃はよく回るということは知っています。Youtubeで見た。

 

機関銃は連続して弾丸を射出することで殺傷力を向上させています。機関銃には様々な種類がありますが、私はミリタリーオタクではないため正直何が何なのかわからない。ここでは機関銃をガトリング砲だとして話を進めていきましょう。

 

ガトリング砲は砲軸に複数の砲身を並べ、それらを回転させながら弾丸を射出する機関銃です。つまり回転するのです。回転するところにマニ経あり、マニ経あるところに回転運動あり。つまりガトリング砲をマニ車にすることは、一応可能なのです。

ちなみにガトリング砲の砲身部が回転するのは外部動力(人力、モーターなど)によるものなので、一般的なマニ車の動力源と一致します。さらにライフリング(砲身の中にあるらせん状の溝。弾丸に旋回運動を与えることで安定させ直進性を高める)があるので、弾丸に旋回運動が加わります。外部動力によって回転する砲身、そしてライフリングによって旋回する弾丸、2つの回転運動が連続することになるのです。徳のべき乗!

 

ただしライフリングの回転を加味したい場合は弾丸一つ一つにマニ経を納めておかなければならないため、その手間は計り知れないものになります。砲軸に複数の回転部分がある場合は、砲身部分の部品にマニ教を仕込むことでその手間を省くことができるのですが、残念ながらガトリング砲の詳しい図面や機構を調べることが気力的にできませんでした。詳しい方教えてください(他力本願寺)。

 

なお、ここまでして功徳を必死になって積んでどうなるかというと、仏からのよい報いがあるかもしれない!程度です。どうにもふわっとしています。ラッキーなことがあったらそれは仏からのご利益だぜ!ということなんだろうけれど、イマイチよくわからないです。T(徳)カードでポイントをためてご利益を受けよう!というカンジでしょうか。ここでいうご利益とは現金的に使えるポイントですが。

 

ところで、マニ経を納めるためにはマニ経と回転する物体があるだけでは不十分で、徳の高い高僧に入魂の儀式をしてもらう必要があります。果たして機関銃や銃弾に入魂の儀式をしてくれるような生臭高僧がいるでしょうか。いたとしてもそんな俗な高僧に入魂されたマニ車はあんまり徳を積めなさそうですよね。ほぼヤクザだよそんな坊さん。

 

 

 

 

 

シプカ峠と共産党旧本部



ブルガリア中央部にはカザンラクという町があります。毎年六月にバラ祭りという観光客が集まる祭りが開催される町ですが、私が行ったのは8月の頭。特に何もない普通の町でした。

体調を崩したこともあり、タクシーでそのまま近郊のシプカ村へ。10レヴァ。当日のレートで600円くらいですから、安いです。バスも出ているそうですがヴェリコタルノヴォ→カザンラクのバスが停まる場所はバスターミナルから多少離れているので、タクシーの方が便利でいいかもしれません。

 

シプカ村は何もない村ですが、観光地化されていない普通の田舎の風景を見ることができます。なお住民の皆さんは外国人を見かけるとロシア語で話しかけるスタイルのようです。英語じゃないのな。

 

宿泊したのはシプカITホテル。スタッフのおばちゃんは親切で英語が上手でそしてこのあたりでは最もお安いながら大変すばらしい部屋でさらにはプールがあります。

プールがあります。

水着を持ってきましょう!

 

どうやらシプカ村には日本人が住んでいたらしく、看板には日本語が。田舎具合といい背景に広がる山といい、なんとなく故郷の九州の山奥を思い出しました。

 

このシプカ村、シプカ峠ハイキングのためだけに宿泊したのですが、なんとシプカ峠の近くにはかの有名な廃墟、ブルガリア共産党旧本部があることが判明。体調が万全でないこともあり、タクシーでシプカ峠と旧本部廃墟に行くことにしました。ホテルで頼んだタクシーで40レヴァぽっきりでしたから、かなりお手頃でした。

 

まずは旧本部廃墟から。


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インターネットには中にはいれた!という情報がありますが、2016年8月現在頑丈なフェンスと防犯カメラに守られ、とてもじゃありませんが中に入れる様子ではありませんでした。ホテルのおじさんによると、壊れかけで危ないからちょっと前にフェンスができたのだとか。絶対に中に入っちゃダメだよ! と念押しされました。

中には入れませんでしたが、外から見てもその珍妙さがわかります。でかい。丸い。でかい。なぜこんなところにこんな建物を建てたのか。田舎の村から山道をくねくね行った先に建っており、夏でも寒い(長袖を持っていくのをおすすめします)。お世辞にも良い場所に建てたとは言いがたい。タクシーのお兄さんいわく、この土地はシプカの戦いの舞台、つまりブルガリア人にとって非常に大切な場所だからだそうです。なるほど。

 

なお、山の頂上にこの個性的すぎる建物をたてたせいか、建造費用より解体費用の方が高くなってしまい、壊すに壊せないのだそうです。ブルガリアただでさえカツカツなのに、それじゃあ放置するしかない……

 

お次はシプカ峠。


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この峠はブルガリア独立にとって非常に重要な戦跡です。露土戦争時、この地でロシア軍ブルガリア義勇兵軍とトルコ軍が戦いを繰り広げました。砲台(台座の石組み)が当時のまま残され、頂上にはモニュメントがあり、中に入れます。階段上って右手にあるチケット売り場で3レヴァでチケット購入。モニュメントの中にはブルガリアとロシアの国旗、ブルガリア兵とロシア兵の像が。棺もあります。さらに当時兵士が持っていた十字架や銃弾、指揮官の絵や進軍図、制服、そのたもろもろの展示もあります。最上階まで上るとシプカ峠を眺望できます。よいながめ。

 

シプカ峠はロシア人観光客が多かったです。

なお、モニュメントのまわりには観光客によって踏み均された道があり、あたりを歩き回れますが柵などはいっさいなく、どんくさい人はツルツルの石ですベってほぼ90°の絶壁を転げ落ちそうになるので注意した方がいいです。死ぬかと思った。本当にこわかった。

 

メイン観光地から外れた場所ですが、ブルガリアの歴史に興味のあるかたは是非訪れてみてください。